妊婦の骨盤ケアについて|骨盤輪支持

妊婦さんの「骨盤ケア」について論文を読んだので、せっかくなので復習も兼ねて、みなさんに共有したいと思います。

 

タイトルは

 

切迫早産妊婦に対する骨盤輪支持の有効性の検証

奈良県立奈良病院 主任 助産婦 前田智子さんの論文です。

 

結論としては:

今まで産院に切迫早産などで入院された80名の分析から「骨盤輪支持」をすると、支持しない時に比べ

○ 頸管長短縮の進行が緩やかになった
○ 妊娠36週まで妊娠を継続させる要因にもっとも関与した
○ 腰痛の減少にも関与した

との結果を発表しています。

 

まずは骨盤輪とはどこか?

骨盤輪(こつばんりん)と聞くと「骨盤輪不安定症」?とか産後の骨盤のゆがみによる腰痛やお尻周辺の痛みがまっさきに浮かんでくるかたも多いかもしれません。(これは整体師だから??)

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骨盤輪とは骨盤のこと。寛骨、尾骨、仙骨で構成されている骨盤の真ん中の穴の部分の輪っかを指してこう呼びます。

 

では「骨盤輪支持」とは何か?

それは、とこちゃんベルトなどに代表される「妊婦さん用のベルト」や「さらし」で骨盤の輪っかのまわりを押さえることです。
ギュッと絞めるのではなくここちよい強さで支持することをいいます。

ちょうど、おへそを触ってそこから横へ手をすべらせたちょっと下にある固い骨。それが ①「上前腸骨棘」 (ジョウゼンチョウコツキョク)の下縁になります。 それと足の付け根部分の両外にある固い骨 ②「大転子」。①と②の間に巻くと、ちょうど骨盤輪を支える状態になります。それが「骨盤輪支持」です。
詳しい数字は割愛しますが、
骨盤輪支持をしていない時は、頸管長は、入院2週間後に平均3.6mm短縮。4週間後に9.5mm短縮。それに対して、
骨盤輪支持を始めてからは、頸管長は、入院の2週間後に平均0.3mm短縮。4週間後に1.0mm短縮。

骨盤輪を支持することによって「頸管長短縮の進行が緩やかになった」ということは「子宮下垂」を予防し、子宮頸管への「物理的刺激」が少なくなったことによって妊娠を継続させる要因になったということ。

一般的に、妊娠25週までは35mm以上、
35週以降は25mm以上あると妊娠が継続しやすいといいます。もちろん子宮頸管が十分の長さがあっても柔らかかったりしたら要注意ですし、短くても固ければ案外大丈夫だったりしますが、ちゃんとした長さが保たれていることは重要です。
そのため、骨盤輪支持をすることによって、頸管長が「短縮しにくくなった」という事は大きな発見であり、それが証明された事は重要だと思います。

 

産後整体をしていると、骨盤ベルトは妊娠中に買ったけど「恥骨が痛くて巻けなかった」とか、「腰痛が取れなかった」、「何に良いのかわからなかったから使わなかった」など色々な話しを聞きます。よく聞いてみると、病院で購入したけど使い方や効能までは教わらなかったとかいう事が多数あります。

どのようなベルトでも、正しい使い方をしなければ意味はありません。

この論文は7年間の実践とデータ分析ですが、たった一つの病院での研究結果から書かれたものにすぎません。被験者数は80人にすぎないため、全ての人に当てはまるか?他の地域でも同じか?などの疑問も残ります。

しかし、

 

妊娠中の「骨盤ケア」

 

の重要性を改めて考えさせられる論文だと思います。

 

ママ出張整体ドットコム
院長 近藤美和子